贋作・罪と罰


 映画ではないのですが、WOWOWで先日放送されていた
野田秀樹さん作・演出の舞台『贋作・罪と罰』を観ました。

 人間はすべて凡人と非凡人との二つの範疇に分かたれ、
非凡人はその行動によって歴史に新しい時代をもたらす。
そして、それによって人類の幸福に貢献するのだから、
既成の道徳法律を踏み越える権利がある。


 この思想につき動かされ、高利貸の老婆を殺害するが、
偶然居合わせたその妹まで殺してしまう。
この予期しなかった殺人が、
主人公の三条英(さんじょうはなぶさ=松たか子)の心に重くのしかかり
罪の意識におびえるようになる・・。


 ドストエフスキーの『罪と罰』を下地にした物語ですが、舞台は幕末。
江戸の町で起こった「ええじゃないか」踊りや、大政奉還など
うまく日本の時代とからめてあって面白く観ることができました。


 主演の松たか子さん、やっぱりこの方舞台がいいですね〜。
こういう凛とした役がとても似合います。声もいいですし!
ラストの嗚咽場面、役にのめりこむというより
魂が乗り移った・・みたいな感じに見えました。すごい迫力!


 英の友人才谷(さいたに)役の、古田新太さんもまたいい味だしてます。
表情にはあまり変化がないように見えるんですが
演技が繊細なのかなぁ・・とにかくうまいです。


 あと印象に残ったのは、英の妹役の美波さん。
最初は脇役かと思いきや、物語が進むにつれ
どんどん存在感が増してました。
この方が、マジョリカマジョルカのモデルさんだったとは知らなかったです。
これから要注目〜。


 野田秀樹さんの舞台、『オイル』『走れメルス』に続き素晴しかった!
椅子やプチプチなど、身近な素材で出来た簡素な舞台装置も
とても効果的に使われていて、自然と情景が思い描かれてきました。
いつかは舞台観に行かなくては・・!