虹の彼方に
池澤夏樹さんの『虹の彼方に』読了。
2000年から2006年にかけて、雑誌や新聞に載せられたコラムを集めたもの。
池澤さんの書籍の内容とかかわりある
イラク・沖縄・憲法・風力発電なんかの話題に加えて
日々の暮らしの中で感じたことなど、幅広い内容でした。
2002年の「文明の手前で立ち止まる」というコラム
消費欲の問題点は加速するということである。微分という操作によって速度が加速度(すなわち速度の速度)に変わるように、消費はやがて消費の消費に変わる。
(中略)
人間をそのような消費者に仕立てるための説得の技術がここ百年で急速に進歩した。ものを買う前にためらってはいけない。考えてはいけない。一瞬のうちに好き嫌いを決め、感覚的に選び取る。商品選択の前にあるはずの買うか買わないかの選択を無意識のままに乗り越えさせる。
ネットで買い物をすることを「ぽちっと」という表現がぴったりくるように
恐ろしく簡単に何でも買えてしまう。
それが普通になってしまっていることに少しヒヤリとしました。