古道具 中野商店

 古道具 中野商店

 久しぶりの川上弘美さんの作品。
古道具屋さんという舞台もいいし
登場人物もみなそれぞれ味のある人たちばかり。
ほっこりとした気分になれる、素敵な恋愛小説です。
センセイの鞄』以来、一番気に入った作品かも。
 

 しばらくわたしとマサヨさんは黙って刺繍にかかっていた。タケオが出てゆく気配が背後に感じられる。一度タケオに気づいてしまった後は、タケオからわたしの方に向かって微弱電流が流れているような感じで、いつもタケオ側に向いた体の部分がびりびりする。出ていきしなにタケオが裏口を開けた瞬間、背中の中心がぐっと糸でひかれるような感覚になり、そのままタケオが裏口を閉めると、とたんに糸はぷつんと断ち切られる。


 こんな感覚、しばらく忘れちゃってました・・!
なんか恋したい〜っていう気分になってきそうな一冊。