東京タワー


 リリー・フランキーさんの『東京タワー』を読みました。東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
長く売れているみたいだし、
福岡が出てくる話ということで、ちょっと読んでみるか・・という
軽い気持ちで手に取ったのですが、思いのほか面白かったです。


 「オカンとボクと、時々オトン」というサブタイトルからも分かるように
リリーさんと家族のことを綴った自伝的な小説です。


 全体的に、乾いた語り口なのですが、
泣かせようという変なツクリモノの表現ではなく
丁寧に丁寧に事実を書き記しているからよけい
胸に伝わってくるものがあるんでしょうね。
読みながら、自然と自分の母親と重ね合わせてしまい、
思わず涙がじわりと出てきてしまいました。


 また、各章の冒頭にある人間・自由・東京などに対して
リリーさんの思いを象徴的に書いてあるところが
オカンのことを描いた部分をよけいに際立たせているようで
うまいなぁ〜と思いました。
 

結局、青い鳥は自分の家の鳥籠にいる。チルチルミチルが探し歩いた幸せの青い鳥がやっぱり我が家の鳥籠にいたように、「幸福」は「家庭」にある。
 この法則から、人間は逃れることは出来ないのだろうか?だとすれば、人間は本当につまらなくて、可能性も意外性もない生き物だけど、だから、温かくて、愛しい生き物であるのだろう。
 青い鳥は家の中にいる。


 実はリリー・フランキーさんのことは
今まで、名前と顔ぐらいしか知りませんでした。
何をしている人??何でそんな人気あるの??と
常々不思議に思っていたのだけど(失礼!)
この本を読んで、クールな表情からは読み取れなかった
懐の暖かさ感じて、印象がずいぶん変わりました。
これからは、「気になる存在」になりそうです。