イラクサ
アリス・マンロー著『イラクサ』読了しました。
ニューヨークタイムズ「今年の10冊」に選出されたということで
ふと手にとってみました。
とっても表紙が綺麗な本です。
表題作の「イラクサ」を含め9つの短篇が収められています。
読んでみた感想は、まずどの物語もずっしりと重い!!
悪い意味ではなくて、50ページほどの短篇とは思えないほど内容が濃い作品ばかりです。
文章の書き方もちょっと特徴的。
一文がけっこう長いものが多くて、するりと頭に入ってくる感じではないです。
ふと前の一行と次の一行で、突然何年も過ぎていたり・・。
時間の伸び縮みが自由自在。
決して楽しいばかりの話ではないけれど
しっとりとした読後感のある作品でした。
あとがきによると作者のアリス・マンローは現在74歳とのこと。
この作品の渋みに納得です・・・!
わたしにはみんなわかった。これで、彼が最悪を経験した男であることがわかった。最悪というのが具体的にどういうものなのか━━私は知らないし、知りそうになったこともないが━━知っている人間であると。彼と彼の妻はともにそれを知り、そのことが彼らを結びつけている。 「イラクサ」