嘘つきアーニャの真っ赤な真実

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

 米原万里さんの嘘つきアーニャの真っ赤な真実読了しました。
著者マリとソビエト学校での同級生の3人
ギリシア人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ)
との学生時代の思い出と、30年後の再開をつづった3篇の話。


 『オリガモリゾウナの反語法』に雰囲気は似ていますがこちらはノンフィクション。
とはいえ、学生時代のそれぞれの友人との思い出はとても生きいきと語られ
また30年後に訪ねていく場面は、謎解きをしていくような面白さで
小説のように一気に読める本です。


 『オリガ・・』と違う点は、より歴史が強調されていることでしょうか。
同級生3人は、ギリシアルーマニアユーゴスラビアという東中欧の国。
3人は同じ教室で学びながらも、
民族・宗教・それぞれの国が選んだ共産主義とのかかわり方
・・などでその後の運命を大きく左右されてしまいます。


 東欧というと、なんとなく一緒くたにとらえてしまっていたので
(当たり前ですが)こんなにも状況が異なっていることに驚きました。
昨今よく話題に出る愛国心についても
考えずにはいられなくなる一冊。面白かったです。