博士の愛した数式


博士の愛した数式
 小川洋子さんの博士の愛した数式映画化されたんですね。
久々持ち出してきてちょっと見るつもりが
ついつい読んでしまいました。


 交通事故で、80分しか記憶が続かなくなってしまった数学博士と
家政婦さん、その息子をめぐる物語。

「君の靴のサイズはいくつかね」
 新しい家政婦だと告げた私に博士が一番に尋ねたのは、名前ではなく靴のサイズだった。一言の挨拶も、お辞儀もなかった。どんな場合であれ、雇い主に対し質問に質問で答えてはならないという家政婦の鉄則を守り、私は問われたとおりのことを答えた。
「24です」
「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」
博士は腕組をし、目を閉じた。しばらく沈黙が続いた。


 最初に読んだ時の印象は
設定が奇抜だなぁ〜ということ。
80分しか続かない記憶というのも一般的ではないし、
24歳の家政婦さんにもあまり現実味はない感じ。
でもその後、他の作品も読んでみて、 
設定の奇抜さと、語り口の淡々とした感じのコントラストが
この方の持ち味なんだろうなぁ・・と思うようになりました。


 主人公の息子のルートの純真さと
博士の無垢で深い愛情が、
読んでいて優しい気持ちにさせてくれます。
後半は、けっこうほろりときますね。


 映画は多分観ないかなぁ〜。
深津絵里さん好きだし、きっとそれなりに
よい作品に仕上がっていると思うのですが、
文章の良さに惹かれた作品なので、
なんとなくイメージが壊れそうな気がして・・。
映画を先に観られる方には、ぜひ本でも読んでみて欲しいですね。