オーデュボンの祈り


 伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』読了しました。オーデュボンの祈り (新潮文庫)


 「仙台」でコンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、
途中で意識を失い自分が見知らぬ島にいるのに気がつきます。
江戸時代以降、外界から遮断されている「荻島」は
日本でありながらどこかリアリティのない場所。
言葉を話し「未来が見える」カカシや
嘘しか言わない画家、銃殺を許された男などなど
島の住人は、皆どこか奇妙な人ばかり・・。


 非現実的な「荻島」の世界なのですが
読み進めていくうちにどんどん違和感がなくなっていきます。
特に、言葉を話し未来が分かるカカシの優午は
ありえないはずなのにすごい存在感。

「私はおそらくそうやって未来を知っています。人よりも数多く、情報を正確に知っているのでしょう。だから、ジューサーに入れれば、未来がわかります」
「神様のレシピだ」日比野が表情を変えずに言った。「未来は神様のレシピで決まる
 錯覚ではあったがカカシはうなずいたかのように見えた。「神様のレシピにはとても多くの材料が並んでいて贅沢です。」
 僕はそれをとてもいい響きの言葉だ、と思った。


 「荻島」と現実の「仙台」が
だんだんと繋がっていくところがとても読み応えありました。
混沌としている出来事が、最後はピタリとはまるのもすごい!
読後感はとてもすっきりです。


 こんな複雑な話を、よくまとめたなぁ〜と感心しきり・・。
伊坂幸太郎さん2冊目ですが、はまりそう。